投資と言えば、企業への投資を行う個別株のイメージが強く
初心者向けとして「配当株」「株主優待」などが紹介されることもあります。
一般的な投資ではありますが、誰でも出来る簡単な投資ではなく
おすすめ出来るものではありません。
実は経験のある投資家でも失敗し撤退するケースがよくあり、
継続的なリターンには才能が必要だからです。
個別株を使った投資は、効率が悪く・失敗しやすく・リスクも多いため
初心者にとって向いていない投資の一つと言えるでしょう。
今回は、個別株を使った投資がおすすめでない理由について、以下のことを解説します。
- 仕様がイマイチ
- 個別株でよくある失敗
- 特有のリスク
- もし個別株をやるなら
それぞれ解説していきます。
仕様がイマイチ

個別株で投資をしている投資家は多くいます。
メジャーな投資の仕方ではありますが、初心者におすすめできる投資の仕方ではありません。
そもそもの「仕様がイマイチ」だからです。
イマイチな仕様は以下が挙げられます。
- 安定性がない
- 分析が難しい
- 効率が悪い
それぞれ解説していきます。
安定性がない
個別株は、1つの会社の株価のため業績やニュースにより大きく左右されます。
決算が市場予想を少し下回った情報などにより、10%以上株価が下落することも珍しくありません。
多くの企業の株価の集合体である「平均株価」より、価格変動が大きいです。
安定性がない分、大きく利益を得ることもありますが
手堅く着実な投資をしたいなら、個別株ではなく「インデックス」への投資が良いでしょう。
安定性がないことで起こる懸念は以下が挙げられます。
- 大負けするリスクがある
- 精神的負担が大きい
- 再現性が低い
当たれば大きなリターンを得られる可能性はあります。
しかし、そのためには資金の面でリスクを負う必要があり、精神的にもノーダメージではありません。
いい意味でも悪い意味でも安定性がないのが個別株です。
扱いが上手ければ強力な武器になりますが、手堅い投資をするなら触らないのが良いでしょう。
安定的じゃない分、当たれば大きい。しかし「手堅い投資」をしたいならナシ。
分析が難しい
投資といえば「個別株」を連想する方も多いですが、実はイメージ以上の分析には難易度があります。
やり方を覚えてすぐに出来るようになる難易度ではありません。
簡単そうに見えるのは一部の成功例を見ているからです。
具体的に分析の「なに」が難しいかは、以下が挙げられます。
- 企業の財務状況
- 業界の動向
- 経済の先行き
- 大量の不確定要素
個別株ということは、膨大な情報を読み解く必要があります。
株価は企業単体の動きだけでなく、それを取り巻く社会全体が関係しており
完璧な予測ができません。
そのため、プロのアナリストですら予測を外す世界です。
また、株価を大きく動かくビックニュースは一般人は手に入れることは難しく
情報戦である投資の世界では常に不利な状況で戦うことになります。
チャートの分析をして、「買い」と判断しても
想像しないようなことで事故や事件で株価が大きく下がることもあるため注意しましょう。
膨大な量の情報をもとに分析が必要。事件や事故で状況が一変することも。
効率が悪い
個別株への投資は、実は手間も時間もかかります。
「かけた時間」「投じた資金」に見合ったリターンを得られるとは限りません。
個別株の投資は、もともと高いリターンが得にくい難易度の高い投資です。
個別株は「魅力のある投資」ではありますが「凡人には効率的じゃない投資」とも言えるでしょう。
個別株は効率が悪い理由は以下が挙げられます。
- 少額では投資できる範囲が狭い
- 外部要因で分析が覆る
個別株の投資は100円前後から保有できる株もあり、少ない資金で1株からでも投資できます。
しかし、保有できるのは1社であり
「少ない資金で多くの企業へ」という、効率の良い投資はできません。
また、企業そのものとは関係のない「企業に不利な政策が出る」などのマイナス要因で
売買判断が覆るケースもあります。
状況が一変すると作戦も変えるしかなく、
かけた時間がまるまる無駄になるのは珍しくありません。
時間をかけてもリターンが少ないケースが多いため、
効率を求めるなら手を出さないのが最適解でしょう。
労力に見合うだけのリターンは得にくい。かけた時間が無駄になることもよくある。
個別株は失敗しやすい

個別株に投資する際によくしがちな失敗があります。
特に初心者の頃に個別株を扱うとしがちな失敗で、知らないと未然に防げません。
自身は、リターンを求め良い投資と思って行うからです。
失敗はすることで経験になりますが、大きなミスにならないように注意しましょう。
個別株でよくある失敗は、以下が挙げられます。
- 偏った投資になりやすい
- 平均以下のリターンになりがち
それぞれ解説していきます。
偏った投資になりやすい
個別株へ投資すると業種の偏り、資金配分の偏りなどがよく起こります。
「集中投資」とも言えますが、意図的にしていない場合は良い戦略とはいえません。
業種も企業も多くある為、個別株を扱おうとすると偏った投資になってしまいがちです。
偏った投資は資金が少ないうちに陥りやすいため、個別株は避けるのが最適解でしょう。
偏った投資になることで起こる懸念点は、以下が挙げられます。
- 暴落時全てが同時に暴落する
- 上昇の恩恵を逃すことがある
偏った投資をすることで爆発的なリターンを得られる可能性もあります。
しかし、運の要素もあり、その成功を継続的に行うことはできません。
暴落時は全てが関係なく売られ、上昇は有望なもののみへ資金が入るため偏った投資は不利です。
自信のある場合はリターンを集中させるために偏りを持たせるのも良いですが
手堅さには欠けた戦略と言えるでしょう。
リスク分散が出来ず、リターンを逃す危険性もある。手堅さ重視なら避けるべき。
平均以下のリターンになりがち
個別株は、市場の平均値である指数(インデックス)のもとになっています。
その中から平均リターン以上の個別株を探して投資をし、平均リターン以上に勝ち続けることは
プロでも簡単ではありません。
単発で成功したとしても継続することは困難で、インデックスに負けるのが当たり前です。
手堅くリターンを得たいなら、平均リターン以下になりがちな個別株を扱わないのが最適解でしょう。
平均以下のリターンになりがちな理由は以下が挙げられます。
- 「平均以上」の株は少数
- 個別株は下落要因が多い
「平均」がごく一部の巨額なリターンにより牽引されているケースがあります。
「平均リターン」に到達している企業は多数派ではありません。
「勝ち組は少数、敗け組は多数」の状態になっており、
平均リターン以下を選んでしまう可能性が高いです。
また、平均以上のリターンをだす企業も業種もその時によって変わります。
昨日までの当たりだった株が、今日になってハズレの株にならないとは限りません。
個別株特有の不祥事やスキャンダルもリターンを下げれてしまう要因です。
下落要因の多い個別株で平均以上のリターンを出す企業を探し、それを継続的に行うのは
困難と考えて良いでしょう。
平均リターン以上を出すことは「上がる株をピンポイントで選ぶ」と同じ。プロでも無理。
個別株「特有のリスク」

リスクのない投資はありませんが、個別株には「避けられない特有のリスク」が潜んでいます。
防ぐことも避けることもできないため、許容して投資するしかありません。
投資をしていれば当たり前ではあるものの、知らないと無茶な投資につながるため注意が必要です。
個別株特有のリスクは、ふいに表面化するため分散して小さくするように心がけましょう。
個別株特有のリスクは以下が挙げられます。
- 減配、無配、優待廃止
- スキャンダル
- 機関投資家の存在
それぞれ解説していきます。
減配、無配、優待廃止
個別株は「インカムゲイン」を得るための投資で多く使用されています。
無条件に自動で貰えるイメージがありますが、確実性が保証されるものではありません。
インカムゲインは企業の利益がもとになるため、利益をあげることは必須条件です。
企業により采配や方針に違いはありますが、配当も優待も利益あってこそというのは
どの企業も同じと言えるでしょう。
減配、無配、優待廃止になるケースは以下が挙げられます。
- 業績の悪化
- 国内外の株主からの意見
還元は企業が決定しますが、それに株主の意見が影響されるケースもあります。
還元姿勢に全ての株主が良いと考えているとは限らず、
様々な意見をもとに企業は還元を決めなくてはいけません。
采配次第では、株主が離れてしまい保有株を売られる原因になるからです。
配当も優待も変更されるリスクがあるため、それを目的とした投資は避けるのが最適解でしょう。
業績や方針転換により変更される。魅力はあるがリスクも大きい。
スキャンダル
スキャンダルの発生は、個別株で価格が大きく動くタイミングになります。
企業の中は必ず人が存在するため、絶対ないとは限りません。
業種や業績とは関係なく、突然起こるもので分析や予測ができないものです。
個別株をやらない理由にあげる人は多くありませんが、
株価暴落の原因には確実になるため注意しましょう。
スキャンダルの例として以下が挙げられます。
- 粉飾決算
- データ改ざん
- 不祥事
企業の信頼の大きさや知名度が高いと売り手が多くなり、崩れた時に株価は一瞬で大暴落します。
スキャンダルはある日突然起こるため、事前に回避することはできません。
問題が大きければ、上場廃止・訴訟・倒産など企業の存続に関わり
投資対象として危険です。
予測が出来ず、回避も出来ないリスクからの損失を抱える危険は
全ての個別株にあることはしっかりと認識しましょう。
予測も回避も不可。知名度が高いと崩れ方も凄まじい。
機関投資家の存在
個別株は個人以外の投資家によっても活発に取引されています。
多くのプロやアルゴリズムという機械も売買に参加しているため
個人の力では取引のスピードでも資金の量でも勝ち目はありません。
相場で取引されている資金のほとんどは機関投資家である「大口の投資家」によるものです。
知名度の高い株ほど良く注目されており、
多くのプロと同じものを取引することになってしまうでしょう。
機関投資家の例として、以下が挙げられます。
- 資産運用会社
- 保険会社
- 年金基金
- ヘッジファンド
機関投資家は「大口」というだけあり、
個人が扱う額とは桁違いの資金と情報力でリターンを狙います。
プロ集団であり「利益を生み出すことが仕事」のため、リターンをどうにか出さなくてはなりません。
分析や情報を最大限使い、利益を出せるものを探す際に無数の個別株は良い取引対象です。
これは日本のみではなく外国も含むことであり、個別株を扱うということは
世界のプロたちと戦うことになることを認識しましょう。
相場の資金のほとんどを「大口」が握っている。弱小の個人は不利すぎる。
もし個別株をするなら

個別株は、リスクが多く効率も悪いため、避けることが最善策ではあります。
しかし、個別株に魅力があるのもたしかで、避けたまま投資人生を終えられるとは限りません。
投資の最適解でないものの、扱うならポイントをおさえて取引することが大切です。
大きな損失に繋がらないよう、最低限の規律をもち個別株を扱いましょう。
個別株を扱う場合の大切なこととして、以下が挙げられます。
- 銘柄を分散させる
- 大型株を扱う
- 単元未満株を使う
それぞれ解説していきます。
銘柄を分散させる
投資の鉄則として「分散」があります。
これに反して、資金を少数の個別株に集中させることは良い戦略ではありません。
投じる資金の先は分けないと、暴落時に全てが同時に値下がりするリスクがあるからです。
もし個別株を使用する際は、銘柄を複数保有しリスクが集中しないよう注意しましょう。
銘柄の分散のさせ方として、以下が挙げられます。
- 業種(セクター)の分散
- 内需と外需
- 景気敏感とディフェンシブ
IT・製造業・金融・医薬品・食品など複数の業種に分けることで、
ある業界が落ち込んでも他の業界がカバーする余地が生まれます。
需要の先も国内と海外のどちらにもなるようにしないといけません。
景気は循環しますが、日本と海外では同じではなく、業績に影響し株価へと波及するからです。
株価の動き方、強みを発揮するタイミングが重ならない銘柄を選びリスクを分散させましょう。
同時に全てが暴落しないように「特徴がバラバラな銘柄」を複数保有する。
大型株を扱う

【大型株】とは
時価総額が大きく売買が活発に行われている有名企業のことだよ。
リターンを狙いすぎて聞いたこともない株にいきなり投資することは、良い策ではありません。
詳しくなく、よく知らず、特別有利な状況でないものを売買して損失を負うことは
よくある失敗のパターンだからです。
わからない物への投資はリスクが大きすぎるので
よく知っているものへ投資する方が良い選択肢になるでしょう。
その中でも「大型株が良い理由」は、具体的に以下が挙げられます。
- 値動きが比較的安定している
- 情報を比較的入手しやすい
大型株は小型株よりも株価の動きが安定している傾向にあります。
株価の分析や戦略を立てての売買のしやすさは、全ての株で同じわけではありません。
出回っている株式の数も情報の量も一定ではなく、不安定な場合もあるからです。
リターンを生み出そうと、無理をしてよくわからないものを売買するより
まずは良く知る企業を売買しリターンを狙いましょう。
よくわからない株の売買は損失をだしがち。良く知るメジャーな銘柄から扱う。
単元未満株を使う
資金が限られている初心者にとっては、複数銘柄を持つことが難しく、
結果として1〜2銘柄に集中投資してしまいリスクが高まります。
株価の大きな株は単元で購入すると100万円以上になってしまうため
資金的に分散ができません。
この問題を解決するのが「単元未満株」です。
100株で本来買うところ1株単位で購入できるため
資金が少ないうちは特にうまく活用すると良いでしょう。
単元未満株の活用法として、以下が挙げられます。
- 株価の高い株を少量だけ保有する
- 限られた資金で、業種や買付のタイミングを分散させる
- 1株で得られる株主優待を最少額で入手する
単元未満株は「高額すぎて手が出せない株」でも少額から保有できます。
集中投資になる以前に、買えないことには投資になりません。
資金が少ない投資家にとって、戦略を広げることができる有効で強力なツールです。
また、単元で買える銘柄であったとしても、購入タイミングを分散させ
高値掴みを予防することもできるでしょう。
1株からの購入は、銘柄の分散と時間の分散に役立つ。個別株を扱うなら活用必須。
単元未満株を売買する証券会社はいくつかありますが、サービスに差があります。
少額から売買できることは同じですが、全ての証券会社の充実度が同じではありません。
単元未満株で差が出る面は、以下が挙げられます。
- 手数料
- 取引時間
単元未満株は、通常の単元での取引よりも不利な取引になってしまいます。
手数料は全体的に割高で取引時間にも縛りがあり、自由度の高い投資にはなりません。
もし使うとしたら、売買するとかかる手数料が全て無料な「SBI証券」がおすすめです。
不利に働く特徴が少ない「SBI証券」が最適解と言えるでしょう。

筆者も単元未満株を売買したい時は、SBI証券を使ってるよ。